侵略次元の兵器 ブルータイタンについて。とある研究員の独白

侵略次元の兵器 ブルータイタンについて。

東妖軍侵略次元技術研究部員、駿河一郎の独白

「ブルータイタンを含むDWM(デモニック・ウォーマシーン)が機械なのは間違いない。
侵略兵器は、機械型、生物型を問わず、活動を停止すると全て消滅する。塵になったり、液状化して蒸発したりするため、サンプルは残っていないが、活動中のDWMの破壊部分から見える内部構造は明らかに機械的だし、捉えて調べた場合でも(すぐに活動を停止し、消滅するが)、機械としての構造が確認された。

だからブルータイタンは機械だ……工業的に生産された量産兵器であるはず。

だがその常識が当てはまらない。我々の知る世界の常識から外れている。

最初我々は、ブルータイタンには大型、中型、小型の数種類があるのだと思った。
小さなもので身長1メートル半、巨大なもので20メートルある。その幅は広く、3種類であるはずはないが、いくつかの種類に分かれると。
しかし観測結果は、そういった常識的な予想から完全に外れていた。

一体として、同じブルータイタンは存在しないのだ。
いや、デザイン、機能、指一本の形や「各部の比率」までは完全に同じだ。なのに身長は、大きさは、一体一体違う。同様に見える個体同士でも、ミリ単位で身長が異なり、それに合わせて各部の大きさも違う。

工業製品的に、量産されているわけではないのか?だとしてもおかしい。内部構造も全く同じなのに、ひとつとして共有できる部品がない。内部の部品の大きさも一体ずつ異なるのだから!

まるで縮尺をデタラメにしてコピーされた絵のようだ。全てのパーツが三次元的にコピーされて個別に組み立てられているというのか?何の意味があって?

あれ程の技術力を持っているのだ。侵略次元も何らかの形で文明を持っているに違いない。襲撃者や侵略兵器にどの程度の知能があるかどうかは確認されていないが、少なくとも奴らの後ろには、技術力と文明、意図と意思を持った何者かが居るはず。

その者達は、一体どういう意図があってブルータイタンの大きさを、一体一体違うものにしたのか?戦術的な意味合いはすでに否定されている。意味がわからない。

『侵略次元を“理解”しようとするほうが間違っている。』
とは、先人たるウォルナーやアークの人々の言葉だ。しかし私の職務は侵略次元の兵器を研究すること。道具を解析する為には、それを作り、使った者の意図を予想し、検証しなければならない。

『理解する』事から目を背けることはできない。彼らにも何かの意図が、ブルータイタンをこうしたものにした、理由があるはずなのだ。

悩める新人研究員である私に、軍はレベル5の情報アクセス権を与えてくれるそうだ。噂ではレベル5の情報には、ゲートルーラー能力の本質に迫るものがあるらしい。直感だが、私の抱えている謎には、ゲートルーラー能力が関わっている気がする……

『理解できないもの』など有りはしない。『理解の難しいもの』『理解したくないもの』は存在する。だが私は幼い時に、『理解したくないから理解しようとしない者達』の醜さを見て育ち、そうならぬようにと研究者の道を選んだ。

理解しようとすることを諦めたりはしない。侵略次元の狂気になど、飲まれはしない。

ましてやそれが、地球を救うための戦いであれば。」

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