魔王メリルの引きこもりダンジョン生活

2021年03月02日   池田 芳正

                   

第2弾のトリプルレアカードとして登場した「引きこもり魔王メリル・シュトラウス」。
ウォルナーの住民なのに、どうしてパソコンで生放送とかやってんの? ウォルナーってそんな世界だっけ?!
あと実は、以前から名前は出てたけど、キメララさんの関係者だよね?!

などなど、皆様から様々な疑問が呈されています。

能力も存在も型破りなメリル・シュトラウスについてご説明します!

オタク魔王の引きこもりライフ

実はメリル・シュトラウスは、僕が習作として書いていた物語「魔王のダンジョン生放送」のキャラクターです。デッキ紹介記事や「裏日記」などの読み物は沢山書いてきましたが、小説はやはり難易度が高く、恥ずかしながら未完で終わっています。
しかし元々舞台がウォルナーの物語であり、山田さん一行を助けるキャラクターが必要ではあったので、ゲートルーラーのカードとして、彼に登場願いました。そうした出自であるがゆえに設定が多く、個人的には思い入れのあるキャラクターなのですが、それはユーザーの皆さんには関係の無い事。
なので「どこまで説明して良いのかなぁ」と遠慮がちになってしまい、あらかじめツイッターで需要があるかどうか、お聞きした次第です。
幸いにも沢山のご支持を頂けたので、恥ずかしながら公開させていただきます。あくまで余談としてご査収下さい。

メリル・シュトラウス。ウォルナーでも有数の巨大ダンジョン、「神封じの牢獄(デウス・インフェロス)」を支配するダンジョンマスターにして、地球に向けて「魔王メリルのダンジョン生放送」(チャンネル登録者数20万人)を配信する人気動画配信者。

◯前世は地球人の引きこもり。パソコンはアキバで買ってきたもので、独自の回線で地球とつながっています。あくまで彼のパソコンが地球とつながっているだけで、ウォルナーの一般にはインターネットは存在しません。

◯モニター等の外見が禍々しいのは、タダのデコレーションパネルです。形から入るタイプなんですね。

◯性格は、「卑屈なのに尊大でエエカッコしぃで気が弱く、オタク気質」であり、魔王としては優しすぎ、サービス精神が強く、部下にも甘々な弱点を持っています。

◯彼の支配するダンジョン上層階層の特性である、「死んだ冒険者からはレベルドレインして蘇生してポイするシステム」を利用して、死亡者が出ない=放送倫理に引っかからない「ダンジョン生放送」を地球に向けて配信。視聴者が、冒険者に向けてどんなモンスターを送り込むか等を投げ銭で選べるシステムを採用。女性冒険者パーティに対しては、メリルの作り上げたロクでもないモンスター「服だけ溶かすスライム」「下着をスティールする次元忍者」等の出撃が高確率でリクエストされます。(当たり前ですが、こんなモンスターはゲートルーラーには出ません(笑))

本人は激弱。実はレベルが高いのに、体力や戦闘力は「チワワ・コボルトとの闘いに命がけになれる世界唯一の魔王」と評されるほど。
◯ダンジョンの運営は「四天王」が取り仕切っています。カード化されている「龍血姫キメララ」はその一人で中層階のマスター。
「混血の戦闘種族」として生まれた(製造された?)キメララでしたが、本質的には闘いを好まない性格で、ゆるーい雰囲気のメリルのダンジョンに食客として居着いて以来、いつの間にか完全に腰を落ち着けてしまいました。

◯部下たちからメリルへの評価ですが、愛されてはいるが頼りにはされていないという所。特に女性モンスターからは、「イケメンの無駄使い」「設定ミス」「とてつもない美形なのに、なぜか絶対にそう見えない」とか、「じくうの ほうそくが みだれる!」など言われたい放題です。

◯「魔王の玉座」(六畳の引きこもり部屋)と秋葉原がゲートでつながっており、出かけるとしてもその程度。

◯宮廷魔術師のシオリとは同人誌即売会で出会って以降の知り合いですが(ウォルナーの住民なのに、なぜ地球で知り合うのか)、互いに謎の同族嫌悪があるようです。

◯カードストーリー的には、山田さん一行が助力を求める形で、メリルのダンジョンへと赴いて出会っています。ちなみに彼らはメリルの部屋からゲートを使って日本に戻れたのですが、メリルが気付かなかったために説明されませんでした。

メリルについてより詳しく

ここから先は、ゲートルーラーのカード世界観的には必要ない設定ですが、メリルについて興味をお持ちの方にだけでも、読んで頂ければ幸いです。

◯メリルの前世は地球人。宮廷魔術師のイズミさんと同じ転生者です。25年前、大魔王メギド・シュトラウスの後継者、つまり「魔王の息子」としてウォルナーに転生しました。

◯前世で大した目的も努力経験も無かった彼ですが、さすがに魔王の息子として生まれたからには頑張ろうと考えました。父からは腹心となるべく、同世代の魔族の幼馴染みを6名与えられ、共に切磋琢磨しての成長を期待されました。(アレクサンダー大王と同じですね)

◯しかし彼には、攻撃魔法や防御魔法といった、魔王に求められる魔法の資質が全くありませんでした。なら少なくともフィジカルを鍛えようと、魔族にしては珍しく筋トレにも励みましたが、親友の柴犬コボルト「豆之助」にも勝てない始末。

◯25歳現在、コツコツと積み上げてきた努力の結果でレベルは48にも達していますが、依然ヒットポイントは4。(一般的な農夫でHP7。普通のドラゴンで100ぐらい。メリルのHPはコボルト並み)筋力も武器スキルも一般人以下という体たらく。
肩アーマーは金属に見えますが、重いのでアキバで買ってきたコスプレ用のウレタン製です。

◯配下の者に司令を伝える等、姿を見せる場合、自分の体格や外見をインスタ修正した立体映像を見せているので、メリル本人とあまり面識の無い部下からは、本人のオーラの無さからして「偽物」と断じられる事も多いようです。
外の空気を吸おうとダンジョンの入口をうろついていて、門番のコボルトに「怪しいやつだワン」「肩アーマーがウレタン製だワン。やっぱ偽物だワン」と捕まえられた事もあります。(自分のダンジョンの入口で門番に捕まる魔王。)

◯上がったレベル分の成長はどこに振り分けられたかと言うと、これが不明。一説には「美形」という容姿スキルに吸い取られたのではないかと言われていますが、カリスマ性が極端に低いので、これが全くの無駄。

◯唯一、「イデア・デザイア」と命名された、「設計思想のあるものの『有様を支える本質』へとアクセスして改竄する特殊能力」がありますが、極端な集中力と時間が必要で戦闘には使えません。ちょっとした突然変異を起こしてオリジナルモンスターを作る事は出来ますが、自分自身の強化には使えないようです。

◯15歳の時に、無敵のはずだった父魔王がアッサリと「伝説の勇者」に封印され、「神封じの牢獄(デウス・インフェロス)」を引き継ぎました。しかし能力不足は部下のモンスターたちにしても明らかだったため、ダンジョンの四天王たちが実質的にダンジョンを取り仕切っています。

◯以前よりは恵まれているはずの「魔王の息子」という環境に転生し、人生をやり直そうと奮起して、彼なりに努力してきたメリルでしたが……その環境ゆえに責務は大きく……本質的に真面目だったメリルは、周囲の期待に応えられない自分に絶望してしまいます。

◯地球とウォルナーの境界面が弱くなったのを利用して独自にゲートを開き、ネット回線をつないだメリルは、前世と同じ様に引きこもり生活をはじめてしまいました。

◯あらゆる努力が報われなかったメリルでしたが、最近は動画配信者として手応えを感じています。一時的な慰めにしかならない事を自覚しつつ。

◯そんな彼ですが、いずれは「五大ダンジョン大戦」に巻き込まれ激動の人生を歩む事になるとか、何とか。

そういった物語も、もし皆様のご要望があれば、どこかでご覧にいれる事が出来れば良いな、と思っています。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました。

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