「どうしてレギンレイヴはいろんな軍にまたがっているのですか?」
というご意見を見た時、これはユーザーの皆様に説明しておきたいな、と考えました。
軍ごとに属性が違う。むしろそういった枠組みを壊し、デッキビルドの楽しさを広げるために、レギンレイヴは作られました。
今までのゲートルーラーは、「ふたつの軍を選んでデッキを作る」でした。仮にこれをY軸のデッキの組み方、と考えると、第4弾での「属性ルーラー(ヴァンキッシャー/センチュリオン)は、
「軍の垣根を超えて、共通の属性でデッキを組む」
というX軸のデッキの組み方となります。
今までも勿論、属性でデッキを組む形をサポートすべく、《殺戮者の森》や《緊急合体》などの属性サポートカードが存在していましたが、むしろ、これらのカードが本領を発揮するのは、サポートできる範囲が広がる第4弾以降になるかと思います。
属性ルーラーが登場した後こそ、属性サポートカードが本領を発揮する。これは第1弾開発時から想定していました。
最初からX軸とY軸が揃っていると、デッキの組み方の自由度が高すぎて、カオスな状況になってしまいます。ゲーム環境とは、ある程度の縛りがあった方が、むしろ密度が高く濃厚に楽しむことができるという事は、TCGユーザーなら皆さんご存知の通りでしょう。
他のTCGでも、属性や種族、エレメントが存在しています。
優れたデザインのカードゲームでは、これら共通の属性を持つカード同士にはシナジーがあり、コンボやデッキの組み方が見つけやすくなっています。
深い知識がなくとも、火属性でカードを束ねたら、勝手にお互いのカードがコンボになっている……といったカードデザインは理想的です。
そういった「設計図」「ガイドライン」があるからこそ、また、その逆の見つかりにくいカード同士のシナジーやコンボを見つけるのが楽しいわけですし、「グッドスタッフ」もまた輝きます。
ですが「柱」としては、やはり、ゲームに意図的に仕込まれた種族・属性でのシナジー、ある意味デザイナーズデッキがキッチリと稼働し、一定の強さを持つことが、ゲームの開発上、バランスを取る上で大事になります。
TCGアニメの「主人公のデッキ」が弱いと皆ガッカリしましたからね。ちゃんとした強い「主人公デッキ」は、アニメを作る時から組まれているので、ハッキリ言ってしまうとなんですが、究極のデザイナーズデッキと言えます。
(「デザイナーズデッキ」というと悪い意味で捉える方が居ますが、ここで話しているのはあくまで開発上の、技術的な意味での言葉です。)
だからこそ、そういった「想定されているデッキ」を超えるオリジナルデッキを組む事にも熱くなれます。
話が遠回りしましたが、こういった事をご理解いただいた上で、レギンレイヴの制作意図をお話したいと思います。
ご理解されている方もいらっしゃると思いますが、第3弾からほんの数枚、「予告編」として仕込まれていたレギンレイヴが、「第4弾の新属性」と言えるのは、正にレギンレイヴが第4弾の属性ルーラーのテーマを体現している属性だからです。
今まで、例えば
「東妖軍と言えば怪異やロボ」
「マジカルユニバースといえばピポバース」
という風に、各軍に「中心的な属性」が作られていたのは、デッキを組む為にたった2軍しか選べないためでした。
例えば「怪異」が5軍全てに入っていて、各軍に4種ずつ入っていると、怪異デッキのカードプールは20種と言えますが、実際に使えるのは2つの軍なので、カードプールは8種しか無いことになります。
そうならないように、例えば怪異なら東妖軍に集中させ、後はマジカルユニバースなりATLASに数種入れて、どちらかを選んでもらう……というのがゲームデザインの意図でした。
しかし「属性ルーラー」の出現によって、こういった縛りがなくなります。なればこそ、「すべての軍に、少数ずつ入っている属性」を作る事で、新しい属性ルーラーを試して頂ける導入になると考えました。
そのために生み出されたのが「レギンレイヴ」です。
レギンレイヴを作る上で必要であったことは、
◯第一に、ゲーム内世界観の設定上、各軍に存在するストーリー的な必然性があること。
◯第二に、各軍の垣根を超えてデッキを組めるよう、均一にバラけた十分な数が作られること。その上で、各軍のレギンレイヴに個性があり、デッキビルドの選択肢が広いこと。
でした。
第一の問題点は、ゲームシステム的にはどうでもいい話なのですが、TCGをプレイするには、やはり感情移入や「納得感」が重要になると個人的には考えています。(今まで僕が好きになったTCGは、フレーバーテキストがしっかりしているものばかりでした。)
ゲートルーラーの世界観で、あらゆる軍に存在する属性とはどんなものでしょう?
例えば「戦士」なら、どの軍に居てもおかしくはありません。しかしそういった「職業」ではなく、この世界のオリジナルと言える属性を作れないでしょうか?(それはイラスト発注時の「デザインのルール」にもなります。)
そこで目をつけたのがATLASの「アーク」です。アークは現在、地球の大西洋上空に浮かんでいますが、元々、侵略次元と転戦するために、あらゆる異世界を巡っている超巨大宇宙船(星?)です。レギンレイヴの出自がアークならば、ウォルナーやマジカルユニバースにレギンレイヴが居ても、現在の地球のATLASと東妖軍に居ても、問題がないと考えました。(侵略次元のユニットにするには一工夫必要で、将来的には考えています。)
(ロキとシギュン (画)クリストファー・エカスベア(1810年)ウィキペディアより)
北欧神話に、「ロキ」という神が居ます。ロキは明らかに男性神として語られていますが、フェンリル狼やミズガルズの大蛇など数多くのモンスターを「産んだ」と語られています。
神様なのだから、男性にも女性にもなれるのだろう、というのが一般的な解釈ですが、僕はロキを「発明家」と考え、ロキの生み出したモンスターは全て、ロボットまたは人工生命体とする設定にしています。
そして、北欧神話でロキは、悪事が過ぎて神々に捉えられ、洞窟の奥深くに幽閉されている事になっています。
そこでゲートルーラーの設定では、OWL(オールド・ワールド・リーグス)の世界には北欧の神々が実在していて、ロキは放逐され、アークの地下に幽閉されているという設定に致しました。(因みにアークの地下世界は数千階層あります)
アークの地下から出ることを禁じられたロキは、暇潰しのために、あらゆる世界の大望を持つ者達と取引をします。
曰く、
「大望を持ち試練を乗り越えた者に、私の技術によって願いを叶えよう。その代わり、私の代わりに世界を相手に立ち回り、力強く面白き人生を送ってほしい。それが正義であろうと、悪であろうと構わない。」
と。
そうしてロキから、何らかの力を得たものを「レギンレイヴ(神々に残されし者)」と呼びます。デザイン上の共通点は、「ロキによってサイボーグ手術を受け、肉体を強化した者」ですが、肉体そのものには手を入れず、アイテムを貰っただけのもの(ルシファーなど)も居ます。
戦練のヴァベルシオン
翼を持たず、病に冒された肉体を持って生まれたドラゴンは、運命に逆らい最強を目指す、という魂の強さをロキに示した。試練を乗り越えた彼はレギンレイヴとなり、魂が折れぬ限り無限に成長する、新たな機械の肉体を手に入れた。
ミノタウロスの戦士サーロイン
「アーク」は、マジカルユニバースにも幾度もやってきた。
恵まれぬ境遇に生まれたミノタウロスの三兄弟も、生まれ持ってのド根性と兄弟愛を持ってレギンレイヴの試練を乗り越え、サイボーグ強化した肉体を手に入れた。
長兄、サーロインは、「どんな惑星上の環境でも、我慢すれば耐えられる」というアバウトに頑丈な肉体を持ち、極寒の惑星でも、恒星の炎の海でも耐えられる、と豪語する。
ルシファー・ザ・ライトブリンガー
「やあロキ。久しぶりだね。親友として願いを聞いてほしいんだけど、僕にもレギンレイヴの力を分けてくれないかな。実は今度、アークの大使を勤める事になってね。ちょっとしたハッタリがほしいんだ。
え? 違う違う。『地球からアークに対しての大使』じゃなくて、その逆だよ。なぜかって?『幼年期の終り』って名作SFを読んだことがある?アレさ。
地球人がはじめて接触する、公式なアークの大使が悪魔の王だなんて……実に諧謔が過ぎると思わないか?!そうさ。君の大好きなイタズラだよ!」
彼の右肩に乗っているのがレギンレイヴとしての力。一種のプロジェクターで、音響や光、香りや引力といった、あらゆる五感に訴えかける「演出装置」です。
ルシファーは地球代表としてでなく、OWL代表としてでもなく、個人的にアークに乗り込みあっという間に人脈を作り、
「地球人と交渉するなら、人類というものに最も深い理解を持っている、僕に任せてほしい」
とでも嘯いたのでしょう。
世界中がはじめての「アークからの公式な大使」の出現を注視する中、「聖なるト◯ビの泉」に舞い降りるのがよりによって悪魔の王、ルシファー……
そりゃ敵にも味方にも5点ダメージが飛びますね。
とっちらかった書き方になってしまいましたが、レギンレイヴというものについて、世界設定的にも、ゲームの開発意図的にも、ご理解いただけたと思います。
実際のところ「レギンレイヴデッキ」がどう動くのかは、第4弾をお手にとってお確かめ頂きたいと思います。
ひとつお話しておきますと……
先程、「しっかりしたデザイナーズデッキはゲームバランスの柱となる」とお話しましたが、レギンレイヴのデッキには、作った我々が追いきれないほどの自由度があります!
「デザイナーズデッキ」と言えないほどの多様性があり、どこまで強いデッキが組めるようになるか、その底は誰にも見えておりません!
ぜひ研究し、極めて頂き、我々をびっくりさせて頂きたいと、楽しみにしております。
第4弾とレギンレイヴデッキを、ぜひお楽しみ下さい。