■炎獄の野望「四大魔竜 炎獄王 ゲヘナトゥス」 池っち店長
「餓(かつ)えた筈の四大魔竜の座も、今のゲヘナトゥスには虚しく感じられた。生まれながらにして強者であり、いずれ魔竜の頂点に上り詰めるであろう自らの姿は、幼体の頃から未来視であるかのようにハッキリと彼の脳裏に刻まれていた。
暴刃王ヴォルスパーダを倒し、四大魔竜の座を奪ったゲヘナトゥスには、20体の魔竜とその軍団が忠誠を誓い、5つの王国が支配下におさめられた。今の彼に匹敵する戦闘力、軍事力を持つ存在は、この広いウォルナーにおいて幾つもは存在しない……しかし足りない。決定的に足りない。彼は自らが魔竜の頂点の一角に上り詰めることを確信していたのと同様、未来における、一つの破滅的な敗北をも確信していた。
五大竜王 炎血皇マグヴァリウス・ダイナ。
同じく、炎熱を纏うドラゴンとして、奴の纏う炎は何かが違うと彼は直感していた。そして自分は、その違い故に、いつの日かマグヴァリウスに滅ぼされるであろう、と未来視する。おそらくマグヴァリウスの炎は単なる炎熱ではなく、ドラゴン・ロードとしての神性を表す何かだ。彼は自らが強大な存在であることを自覚していたが、神に至る神性を得ていると慢心するほど、愚かではなかった。
ドラゴン・ロードは超生物であり、神に近い存在だ。自らの体表面以内を、自らが神として物理法則を支配する『別の世界』として保持している。故にドラゴン・ロードを害するには、同様に神性を持つものか、この世界、ウォルナー以外の物理法則を持つ異世界の、強力な物質でなければならない。
ゲヘナトゥスは、自らが所詮『強大な生物に過ぎない』事を理解していた。完全な神性を持つドラゴン・ロードには、成り得ていない。破滅の未来を防ぐには、自らも神性を得るしか無い。多くの配下、多くの信者を得ることで崇拝の対象となり、時間をかけて「神」となり、神性を得ることも可能ではあるが、もっと早い方法もある……
神性に到達している同族を食らうのだ。都合の良いことについ最近、深く傷つき、眠りについた同族が居るではないか。そう。あの荒塵王が……!
■四大魔竜 炎獄王 ゲヘナトゥス
ウォルナーのSRカードです。
スタッツは5/5/3と並ですが、「灼熱防壁」により意外な防御力を誇ります。
【TD】【OD】は今までにない珍しい効果で、デッキからフィールドカードをサーチし、設置することができるという非常に汎用性の高いものです。
鉄板は「アル・テリア」を持ってきてアドバンテージにすることですが、属性〈ビースト〉を持っているので、「殺戮者の森」を持ってくるのも効果的です。
面白いところでは、マジカルユニバースのフィールドカード「マクスウェルの悪魔」を設置することで、「灼熱防壁」でレベル3までを焼いたり、「灼槍」でレベル2のユニットを破壊できるようにもなります。ウォルナーとマジカルユニバースには、対象のレベルを参照するカードが幾つかありますので、ゲヘナトゥスを中心とした「マクスウェルの悪魔デッキ」はなかなか面白いデッキになるかも知れません。