世界設定 東妖軍編

2021年02月01日   池田 芳正

                   

一部の専門用語には(注)の文字が入り、最後の用語解説コーナーで説明があります。

★2026 日本で最初のゲートルーラー能力者(注)が確認される。

★2027 日本政府に秘密裏に、異世界人「イディアル」が接触。侵略次元の危機を伝える。

★2028 未門内閣発足。大幅な軍事研究予算拡大は大きな議論を呼ぶ。

鬼ノ宮コウガ、第百代目鬼ノ宮家当主を襲名。

★2029 日本各地で、妖怪の目撃例が相次ぐ。

鬼ノ宮コウガ、ゲートルーラー能力者として、自衛隊特務士官に任命される。

★2030 4月。デスティニー・デイ。

全長10キロメートルに及ぶ巨大な「剣」(注)が、東京都に飛来。直前に現れたウォルナーの魔術師達、妖怪、そして超能力者「ゲートルーラー」達の活躍により、被害を最小限に留めることに成功。剣はゆっくりと旧代々木公園に落着。ゲートルーラーの能力で空間的に固定された。

直後、超巨大な次元断層(注3)が発生。全長1キロメートルに及ぶ巨大な赤竜を始めとした、侵略次元の尖兵達が出現する。第一次次元防衛戦。


自衛隊陸海空の最新兵器と妖怪達、およびゲートルーラーの力によって撃退に成功する。
関東圏内での死傷者数は約四万人。「消滅地区」は3箇所。

以降、東京都内で散発的に小型の次元断層が開き、侵略次元の尖兵が侵入。撃退が繰り返される。

また、極稀に日本各地でも次元断層が発生。距離的な問題は原因不明。

同年7月。妖怪たちとの正式な軍事同盟協定が結ばれる。「妖怪たちの夜」を作るため、東京深夜の計画停電開始。

★2031 ウォルナー軍の齎した「精霊エンジン(注)」による試験兵器の実証実験が軌道に乗る。

3月 初のイフリートエンジン(精霊エンジンの中でも最も強力なもの)起動実験機、「竜型陸戦決戦兵器アラミサキ」が実戦参加。侵略次元の中型機動兵器を単騎で撃破する。

10月 神野悪五郎の乱。

★2032 第二次次元防衛戦。

二年ぶりの大規模侵攻を、「アラミサキ」「ホノカズチ」「ナルイカズチ」「フシカズチ」ら四機の竜型決戦兵器と、「機骸装甲ガシャドクロ」「マスラオ」等の巨大ロボット軍が撃退。被害を最小限に収める。

ウォルナーのドラゴンや、マジカルユニバースの宇宙遺産ロボなども応援に来ていたとの目撃例もあるが、詳細不明。
東京は驚異的な速度で復興し、世界一の観光都市と成る。
同年、「東妖軍」公式に設立。(それまでは自衛隊やらEDFと呼称されたりと、紆余曲折があった。)

★2033 テレビ番組「東妖軍24時」が大ヒット。

妖怪や兵士をヒーローにした番組が軒並み好視聴率を記録する。
同年、ゲートルーラー・プロリーグ発足。

★2034 未門内閣六年目。

世界機動兵器展示会(ATLAS軍と東妖軍の巨大ロボット展示会)大盛況に終わる。が、極東東妖軍の最新・最強ロボ、「ダイジンキ」の完成展示は間に合わなかった。

★2035 4月。邪神襲来。

■用語解説

○ゲートルーラー


ゲートルーラーとは、空間に折りたたまれた余剰次元を自在に展開し、思考能力と意志の力で発生する「ポジショナル・エナジー」を用いて余剰次元を自在に加工する力を持った、超能力者である。

あたかも「無」から「有」を作り出すかのような力を持つことから、「創造神の雛」と言われる。

全くのゼロから物を作れるのではなく、ゲートルーラーのカードを、物を作り出す「設計図」として活用しなければならない。

カードを手にすることにより、そのカードに描かれた「キャラクター」や「概念」を現実化(リアライズ)できる。

例えば、魔法が描かれたイベントカードをリアライズすれば、その魔法を使うことが出来るし、「サプレッション・ファイア」等の銃撃イベントカードをリアライズすれば、実際に銃撃を行うことが出来る。

キャラクター(ユニットカード)をリアライズした場合、余剰空間によって作られた「仮想物質」で出来た人物やモンスターが出現する。

彼らは本物と同じように思考し、会話する事ができるが、ゲートルーラーの手足と同様、所有物としてコントロールできる。
故にゲートルーラーは、リアライズしたユニットの挙動をコントロールしやすい、「相性の合うユニット」を使用する傾向がある。

リアライズされたユニットが戦闘によって破壊された場合、ガラス質の次元境界線(ディメンション・デブリ)となって粉砕、消滅するが、特に痛みや苦しみを感じることもなく、また、モデルとなった本人に危害が及ぶことはない。

リアライズされたキャラクターが、現実に存在する個人であった場合、本人はゲートルーラーと会ったときに、「夢の中で会ったようなシンパシー」を感じる。
時には、バトル中の会話や出来事を思い出す人もいるかも知れない。

○デスティニーソード


2030年に落着した巨大な剣。地上露出部分全長約10キロ。埋没部分は3km。
一見、不安定な刺さり方に見えるが、ゲートルーラーの次元干渉能力により、空間的に固定されており、倒壊の危険は無い。
代々木公園の敷地をほぼ専有する形で突き刺さっており、代々木公園は基本、立入禁止になっている。刺さっている「足元」には、東妖軍の研究所が建築されており、時折一般にも公開されている。
デスティニーソードは全体がディメンション・ラミネートで固定されているため、材質のサンプルを取ることが出来ない。だがいくつかの破片から判断するに、ごく普通の金属(純度は異様に高い)でできていると考えられている。
このような巨大な剣が、どのように作られたのか、どこの宇宙空間からやってきたかは判明していない。いくつかの仮説は提示されているが、もっとも説得力のある仮説は、控えめに言って戦慄すべきものである。

○東京
デスティニーソード落着時、主に剣の「傾いた先」の方の地価が暴落し、首都を離れる人々も多かったが、危険性のないことが周知されると、一年を待たずして東京全土の地価は急上昇した。
侵略次元の攻撃後、即座に世界中の支援を受け、生まれ変わった東京は、世界最大の観光都市へと急成長したからである。

○東京の景観
侵略次元に対する防衛戦のため、地下都市としての発展を続けている東京は、

「侵略次元の攻撃があれば、最寄りの避難口から地下ハイパー・チューブで安全なシェルターに5分で移動できる退去網」

が完備されており、潤沢な観光収入を都市防衛システムに投資した、世界一の防衛都市となっている。

地下都市は主に、内陸部に向かって大きく発展を続けており、現在すでに、全都民をシェルターに避難させたまま、半年近くの「籠城」が可能にまでなっている。

逆に地表部分は意外なほどに2020年代から変化していない。これはデスティニー・ディによって失われた都市景観を、可能な限り保持しようとする民意に沿ったものであると同時に、デスティニー・ソードそのものを観光資産とした「観光都市」としての東京の価値を守るためでも有る。

地表で見る東京の景観は、「巨大な剣がそそり立つという非日常的な背景に、各地に配備された巨大ロボや、風景に溶け込むように活動している妖怪達が観察できる、世界一エキセントリックな都市」である。

○都民

このように、満たされた生活インフラと繁栄を享受する東京都民ではあるが、ここはやはり「戦時の場」である。
小規模なものがほとんどとは言え次元断層はほぼ毎日発生しているし、月に一度は一区画そのものを戦場とする中規模の侵攻も起こる。
そして何より現実に、逃げ遅れた人々の死は途切れない。
では何故人々が東京を見捨てないかと言うと、それは人類の戦いの最前線都市に居るという矜持も有るだろうし、なにより 人々が、「こうした新しい日常に慣れたから」である。
侵略次元の攻撃による死傷者数は、実際の所2020年代の交通事故被害者数より少ないほどだ。
コロナが蔓延しても、ごく一部を除いて人々は脱出しなかった。
人々の、こうした「状況に流され、そして慣れる」という一種の鈍感さ、良く言えば柔軟性は、人類の強さの一面なのかもしれない。
とは言え、ゲートルーラー世界の東京都民は、やはり「戦地に身を置く人々」である。表情は引き締まっており、歩みには目的意識がやどり、そして何より、日々生きている事に感謝し、人生を謳歌しているように見える。

○次元断層

侵略次元と地球を結ぶ次元の裂け目。見た目は大体、地表近くの空中に空いた、長さ10メートル程度の「赤い裂け目」であり、そこから人間大~3、4メートルの戦闘兵器(DWM、デモニックウォーマシーンと呼ばれるものや、「オブジェ」と呼ばれる存在)が列をなして現れる。
こうした小型の次元断層は、多いときで週に10数度、少ない時でも週に一度の頻度で出現する。
小規模な断層は妖怪や、兵士達で対処可能だが、少なくとも一機は主力となる巨大ロボや、竜型決戦兵器が支援のために送られる事になっている。

中規模の次元断層は50メートルほどあり、大型の怪獣や大型の戦闘兵器が出現する。これらは一ヶ月に一度ほどの頻度で発生し、巨大ロボや決戦兵器、空中母艦による迎撃がメインとなる。それ以上の「大型断層」は、東妖軍の総力を持って迎撃する事となり、東京全土で住民の避難(地下シェルターへの移動)が徹底される。

どの場合も、最後に次元断層を閉じるのは、唯一空間を操る能力を持つ、ゲートルーラーの任務である。

○神野悪五郎の乱
稲生物怪録にて語られる大妖にして、邪悪な意思を抑えられぬ怪異……「魔の者」と呼ばれる者達を率いる妖怪の首魁が一柱、神野悪五郎の起こした妖怪戦争。

決着はついておらず、神野のライバルである「山ン本五郎左衛門」の介入により、水入りとなっている。
同じく「魔の者」の頭目である山ン本五郎左衛門は、東妖軍に協力はしないが、一部の人間に対し、個人的な助力はしているようだ。

○精霊エンジン

ウォルナーにかつて栄えていた、「魔法科学帝国」が残した魔力内燃機関。エネルギーを発生させる「精霊」が閉じ込められており、少量の魔力を供給することで起動する。精霊には魂はあるが意思はなく、閉じ込められていて不自由を感じることは一切ない。
低出力の「ウィスプ・エンジン」から、小型ながら大型の船舶をも動かす「サラマンダー・エンジン」、想像を絶する高出力を発する「イフリート・エンジン」、更にはその上の「ヘリオス・エンジン」まで、多様な精霊エンジンが存在する。

極東東妖軍(日本)がウォルナーより譲渡された精霊エンジンは、小型のものを含めて約80基。そのうち10基は、最大レベルの出力を誇る「イフリートエンジン」であり、ウォルナー最強の生物であるドラゴンを模した、「竜型決戦兵器」に組み込まれている。

○竜型決戦兵器

ウォルナーから譲渡された「イフリート・エンジン」により起動する、ドラゴン型の巨大ロボット。
イフリート・エンジンの起動には一定量の魔力が必要であり、地球にも魔力は存在するが、東妖軍では魔力を制御するノウハウが限られているため、神道の儀式を用いて「神降し」を行う。神降しによって「付喪神」と化した竜型決戦兵器は、人々の祈りや願いという形で魔力を吸収し、強大な力を振るう。よって竜型決戦兵器の発進基地は、全て公式な「神社」である。

起動実験機から実戦検証機体となった「アラミサキ」を除いては、シリーズ機体には全て日本神話の炎の神の名が付けられることになっており、「ホノカズチ」「ナルイカズチ」「サクイカズチ」「オオイカズチ」等、八体の実戦配備が計画されている。

○機骸装甲ガシャドクロ

情報生命体である妖怪達の生態と、魔力を集めて動力に転ずる魔力炉心、そして最新の機械工学が合わさった、スーパーマシーン妖怪(ロボットと妖怪のハイブリッド)が機骸装甲ガシャドクロである。
高電力と魔力(人々の祈りや想いを魔力に変える魔力炉心)によって起動する骸骨型の巨大ロボに、「妖怪ガシャドクロ」(戦争で亡くなった英霊達)が取り付くことで、マシンスペック以上の破格のパワーを発揮する。
大太刀を振るうは剣豪の技。どんな強敵にもひるまぬ戦いぶりは武士の有り様。そしてどんなに傷ついても、人々の声援に応えて立ち上がる様は、ヒーローである。もう大人気。

○マスラオ
精霊エンジンで起動する弐号機と超電導プラズマエンジンで起動する壱号機が合体することで誕生するロボット「マスラオ金剛体」は、本来は両エンジンのマッチング実証機に過ぎなかったが、想定以上の功績を上げ続け、現在では首都防衛の要となっており、合体機構を再現した玩具は年間50億円の売上を記録した。
現在は妖怪の力を研究して作られた「妖力炉(魔力炉の進化型)」を含めた、三機合体のスーパーロボ「ダイジンキ」が計画されている。

○テレビ番組
かつての国威高揚番組と同様との非難もあるが、現実的に危機と直面している日本人にとって、侵略次元と戦う兵士やゲートルーラーは、正しくヒーローであった。

○ゲートルーラー プロリーグ

対侵略次元の要となるカードゲーム、ゲートルーラーは、世界の人々の心の支えでもあった。日本では、リーグに所属するプロプレイヤーは常に100名とされ、強いだけでなく、一流のエンターティナーであることが求められる。
対戦成績と、視聴者からの人気投票によるダブルスコアにより、100名のプロ枠に入るかどうかが決定する。
因みに、本物のゲートルーラー能力者が10名ほどプロリーグに名を連ねている。(公開されている者も、秘匿されている者も居る)

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